原状回復に関するトラブル事例
営業所として事務所を借りた際に、内装工事を行い、数年後事務所を退去するにあたって、原状回復工事費用として約300万円を請求された事案(+退去にあたり、更新料が発生する日の2週間後に解約の申し出をし、更新料(約33万円)を発生させてしまった事案)
更新料
また、更新料は法律で支払いが義務付けられているわけではありません。
更新料が発生する物件は、主に関東圏に多く、関西圏では京都でも多いです。また、更新料は家賃0.5カ月~1カ月程度が相場となりますが、都心では家賃2か月分を超える場合もあります。
<NGな点>
・貸主から原状回復工事費用として約300万円を請求された要因としては、原状回復の内容が契約書通りの内容になっていなかったこと(立会のうえ、実際の原状回復工事の内容を確認できなかったこと)
実際の契約書の内容
退去時には、下記内容を借主の費用負担で行うものとする。
(原状回復内容)
造作物、備品の撤去処分/内装設備の撤去/室内のクリーニング/備品撤去/
看板等の撤去、改修
・更新時期を把握せずに、事務所の退去等を実施したこと
<その後の経過>
・貸主側の請求金額について、複数回書面のやり取り(貸主側は弁護士にも依頼)を行ったうえで、最終的に、工事費用150万円を敷金と相殺して支払うことで合意した
今回は運よく解決することができたものであるが、最悪の場合訴訟に発展する可能性もあったことから、原状回復対応には細心の注意が必要である
<事前に対応すべきだったこと>
長期的視野をもって事務所の契約先を選定すること
事務所を設置する際、賃料、契約費用(初期費用、改修工事費用)、解約費用(原状回復工事費用等)だけでなく、当該事務所の売上見込も含めて費用対効果の観点から検討すること
契約締結前に原状回復の内容を把握しておくこと
契約締結前にも、解約申出前にも原状回復の内容を確認し、概算で見積(費用を把握)した上で解約申出すること
実際の原状回復工事費用が契約書通りになっているか確認すること
・賃料以外の費用負担についても把握しておくこと
→今回の更新料のほか、中途解約時の違約金の内容など、賃料以外の費用負担について整理し、更新時期や解約前予告日数を把握して、無駄な費用がかからないようにすること